うに違いない。いいかね。そうしたら今度は『そんなら幾つ入ってる?』と訊くんだ。忘れちゃあいけないよ。
幾つ入ってるかと、また大きな声で訊いてやるんだね。
そうすると、ホラこの通り紙でちゃんと包んであるから、コロポックルに中の数は分りゃあしない。
だからきっと黙っているだろうさ。そこで、うんと今度も力を入れて、
『数が云えなけりゃあ引込め!』
と怒鳴り付けてやるんだ。いいかね。
そうすれば、きっとコロポックルの奴も降参するにきまっている。数を訊くのを忘れちゃあ駄目だぞ。それから、お前自分でも、決して豆の数を勘定したり、中を見たりしちゃあいけないぞ。いいかね。
大切なお禁厭《まじない》なんだからな。腹へうんと力を入れて、やって遣るんだぞ。きっとコロポックルだって降参するんだからな、よしか!」
 これを聞いて、イレンカトムは、どのくらい心強く感じたことだろう。
 彼は今までかつてこれほど、自信のあるらしい、禁厭を教わったことはない。また、聞いたこともない。これでこそコロポックルに勝てるぞ!
 それだけでも彼は、もう勝ったような心持がする。
 コロポックルにさえ勝てば、もう他に何が来ても、この
前へ 次へ
全41ページ中39ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング