するたんびにカサコソと音をたてる様な着物を着て、赤っぽいメリンスの帯を、柔くたきすぎたお萩の様にまとまりの悪いデロリとした形恰に結んで居る。顔の処々に淡雪が遺《のこ》って居る。平常、あんまり黒っぽくて居て、急ににぎやかな色をつかうので、そんな年でもないのに、いかにも釣合の悪い様子に見える。女中ばかりが、いかにもお正月を迎えた様だ。
校長の家の妻君は、紬の紋附を麗々しく白衿で着て居る。ふだんのかまわないなりの方がその人を可愛らしく見せる。田舎田舎するのが却って目立つ。
年始に来る者も来る者も女まで、赤い顔をして居る。皆それぞれさっぱりした装《なり》をして袴をはいて居るのもある。いつになく儀式ばった様子で来るので箸のあげ下しにも気を用《つか》って居る様に見える。
年賀の言葉なんかも半分位云って後《あと》はのみ込んで仕舞う。
来るものも来るものもおとそとお重詰とを食べて行く。
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「もうはあ、いただかれませんからハイ。
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と云いながら、出したものは食べる。
日露戦争に参加して、斥候に出て捕虜になった在郷軍人は、東京の家の書生の兄弟で、いい
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