云った。大方彼の群の一羽で有っただろうと想って見る。非常に羽色が美くしい。頸の、群青色等は又とないほど輝いて、そのまんま私の頸に巻きつけたいほどだ。足なんかもさえた卵色をして居る。
食べるのは惜しいからこのまんま飼おうと云ったが聞き入れられなかった。甚五郎爺も、あまり食物がないからとってきたのにたべないなら又放して仕舞うとさっさと足を握って裏へつれて行って仕舞った。
鴨の肉は好いて居ない。何だか鴨くさい臭がする様だ。鴨雑煮をすると云って居る。私は裏へ行かない。こしらえるのを見ては一切だって喉を通るものではない。甚五郎爺は薬だと云って鳥の「きも」を出すとすぐ生《なま》のまんまのむと聞いて、私は喉へ丸《たま》が上って来るようだった。鳥にも「きも」なんてあるものかしらん、私は獣ほかない様な気がして居た。昨日の雪見舞の者達に皆食べられて餅がないので女中は源平団子にもちごめと引きかえに餅をとりに行った。東京の鴨の様に臭がない。
お八つ頃、例の芝居ずきの御婆さんを呼んでやる。結構だ結構だと云いながら、年に合わしては随分沢山たべて、こないだ見て来た多助の芝居の話をした。多助が「青」と別れる処を
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