。女中は炬燵の中で、松の枝に下った「つらら」に砂糖をつけてカリリ、カリリとたべて居た。
(六)[#「(六)」は縦中横]
雪解《ゆきげ》で一しお寒さがはげしい。
キラキラしい太陽が面《かお》を出したので雪からは少しずつ水蒸気が立って行くのが見える。あたりが何となし、うるおって、ハアッと息を遠くから吹きかけた鏡の面の様な空合になって居る。太陽は美くしい色に輝いて居るけれ共、寒さはひどいので、小川の面から息が立って居る。土地は汚なくなって行くばかりである。昨日、一日休んだ馬が、パカッ、パカッと勢よく、町へと里道を小さい穴だらけにし、草鞋の両方へ、泥をとました足跡で、道はゴタゴタになって仕舞い、鶏が、馬の蹄の跡の穴の泥水みたいな中へ足を踏み込んで、腹まで羽根をどろでかたまらせて居る。
小川の水かさが少しました。三番池には、非常に沢山の水鳥が群れて居る。五、六羽白い色のも見える。何だか分らない。大抵は鴨位の者であろうが、白いのだけは流石にもっと好いものらしく見える。
昼近くなってから甚五郎爺が一羽まだバタバタして居る鴨をさげて来た。田の中に昨夜から「繩落し」を掛けてとったのだと
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