さには、到底打ち勝てそうにもない気がします。
 まあ考えても御覧なさいよ。今頃から雪は降って小一日吹雪は止まない。その中で私は東京に居る時の様に更けるまで息をはずませて話合う様な人はたった一人もない山中に、いつもいつも待遠がって居る夜が来るやいなや、寝床へもぐり込む。寒いのでそちらの様に長起きが出来ないんです。つくづく東京が恋しい。平常私は『自分は、手足は山の中に暮しても頭だけ――私の仕事なり考えなりは大都会の中央で活動して居なければ満足出来ないだろう』と云ってましたが、尚更、私は、そう云う人間である事が明かになって来ました。帰りたい、ほんとうに帰りたい。けれ共、東京で桜が末になるまで、冬の寒さにつかまえられて、雪の積った中に祖母を見す見す残して行く事を考えれば、そうも出来ない。皆気が利かないから私でも居なければ、暖まらない時に湯タンポを入れたり、夜着の肩を打《たた》いてあげるのは一人も居ないんですものねえ。
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と書いて友達に、家へは、キニイネの丸薬とその処方を送って呉れる様に云ってやる。私はすっかり冬籠りの仕度をするためにその他、毛足袋だの何だのも云ってやった
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