る。
 小作男と地主とはどうしてもはなれられないものの様である。何にしろ、一方は取る方で一方は取られる方である。恐らく、年に二度収獲のある土地でも小作男はなろう事なら、一二俵はまけて慾しくて居るだろう。
 ほんとに何かうまい事が工夫されないと困ると思う。

   (四)[#「(四)」は縦中横]

 随分と骨に通る様に寒い風が吹く。
 家中で一番遅く起きた私は寝間着の上に、黒っぽい赤い裏の「どてら」みたいなものを着て、不精に手を袖の中にしっかりと包んで、台所の炉のわきに女中が湯をわかして呉れるのを待って居た。木の枝に火がついて立つ煙が目にしみてしみてたまらないので、
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「こんな煙っぽくっては眼に悪いねえ。
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と女中を見ると、崩れた薪をなおすために煙のまっただ中に首を突込んで何かして居る。こもった様な声で、
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「赤坊《やや》の時から、煙の中で乳すうて居ますだもの。眼が馬鹿になって居ますのだ。寒い朝ですない。風邪《かぜ》引きなさいますよ。
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 若い女中は、私の横顔を何か、さがし物でもする様に隅から隅ま
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