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〔摘要〕学校欠席、本田道っちゃん 英男国技館行、
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 頭の云いがたいほど重いのと気がむしゃむしゃするのとでわけもなくむずかしい顔をして居た。男鴨の妙にやせて居るのがことさらに目立った。片すみにかがむ死の影を書く例の通り終りの句が気に入らなく力のたりないものになってしまった。
 エジプトの歴史に関した事を戯曲なり何なりにしたら面白かろうと思った。思う事ばっかりがあって手の方が中々動いて呉れない。原稿紙の書きにくいのなんかもいく分かそのかたむきがあるのかもしれない。体が悪いからかもしれない。でもまあ二日三日立てばなおるだろうからこんな事も思って居る。

 一月十四日(水曜)曇天 暖
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〔摘要〕学校欠席
    午後大変嵐になる。
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 そこいら中の山が爆発したり地震があったりするんで私達の心は何となく落ちつかない不安が絶えずおそって居る。
 風が吹いて雨が降って雷さえなるなまあったかいうす暗い部屋の中でこんな日でもそとで働いて居る人達の事を思って居た。
 私がこんな気分が悪いのなんのと
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