の前にはあの小鳥の様な新妻の様子がうかんで来る。
一月六日(火曜)晴 暖
[#ここから20字下げ、折り返して24字下げ]
〔摘要〕大瀧氏[#大瀧潤家、叔母(父の妹)鷹子の夫]へ御年始かたがた午後から遊びに行く
〔発信〕成井先生 岡田信一郎 福島祖母君[#中條運、父方の祖母]
〔受信〕曾我ふみ子
[#ここで字下げ終わり]
すきだらけな気持で行ってすきだらけでかえって来た。
何となくうすあったかい胞で私はさしぐむ様な気持になって居た。一寸のものにふれてもすぐ涙がこぼれそうな私の心を自分でかわいらしく思った。まだ世間知らずの娘達の様に自分の年の呼び好いのにほほ笑みながらくり返した。
小学校の時の事なんかがたまらなく思い出された。
それから生の事も――そうして私は喜びと悲しみの交ったある感情に純に涙ぐんで居た。ふくふくの枕に頬をおっつけて私はポロポロ涙をこぼして居た。私はまだ若いと云うのを嬉しく思う。
一月七日(水曜)晴
[#ここから20字下げ、折り返して24字下げ]
〔摘要〕「夜」(短詞)、小さな論説。「小鳥の如き我は」(散文詩)を書く。「青い鳥」、「誘惑」を読む。
[#ここ
前へ
次へ
全45ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング