りと私はとてつもなくおどけた連想を起させられた。こすき先生ははっきり言葉のわからない言葉で見て[#「て」に「(ママ)」の注記]は意志の明かでない人の様に思われた。
一種の暗いかげのある音楽家として久野先生は目立つ方である。
一月二十六日(月曜)晴 暖
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〔摘要〕国語試験、母上会出席、衿をぬい始む
[#ここで字下げ終わり]
夜の日に影なき道をたどり行けば人を呼びたき心地こそすれ
美くしきまどはしよ汝我心のいまいる奥にひそみ居るらん
まどはしは仮面つけて我心の精をくみて育ち行くなり
ゆたかげに波うつ海の青さのみ恋しき心山にすみ居て
くゆらしし香の煙に我心のかこまれて行く紫のくに
夜の姫は衣のひだに白き足秘めし音なく我うでに来る
疑よ! なつかしく汝思へどもあまりしかしき我はかなしや
はれてさへ尚灰色の影をもつ冬の空のみ只かなしかり
一月二十七日(火曜)晴 暖
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〔摘要〕学校出席
[#ここで字下げ終わり]
私の心はいつでもはればれと澄んで希望に満ちて居る。
けれ共私はしな
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