出席、(当番)
    古橋氏来訪
[#ここで字下げ終わり]
 この頃はどうしたんだか感情に変化がありすぎて困る。
 もう忘れてもいい感情がたまって居て新らしい事も何も出来ない。この月はしかたがない。こんな事もフイと思って見るけれ共何となくして居る事が足りない様に思われてしかたがない。
 心のそこのそこからむくむくと湧き上って来るあせる心を私はおししずめて行かなければいけない。この頃少し又頭が悪くなりかかって居る。気の遠くなるほどの強いきれいな刺撃[#「撃」に「(ママ)」の注記]をうけたい気持になって居る。どっかすきがあるらしい――この頃の私の気持である。

 一月十七日(土曜)晴 寒
[#ここから20字下げ、折り返して24字下げ]
〔摘要〕学校出席、例の――
[#ここで字下げ終わり]
 或る一事によってだんだんかわる人間の気持と云うものは中々微妙に作用するものと見える。今日などはことにそう云う事を思った。
 人間の心理状態なんかはほんとうに不思議なものだ。
 一度の打撃をうけてもっ[#「っ」に「(ママ)」の注記]どりうった気持にもなればいくどもいくどもうちこまれても平気な気持がある。
前へ 次へ
全45ページ中12ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング