紙」の序文を習字のつもりで書いた。今日は何にも変った事がなかった。
くりかえしてかんがえて見ると、朝おきる、御はんをたべる、算術、習字絵、一寸私のどうらくに手をつけて図書館に行く、かえる、又御はん、又書く、下らないきまりきった事をかんがえてぐちをこぼす、又書く。
そしてねる、おまけにねてまで下らない夢を見る。
私はそう思われる。私の一日はかたにはまるにも事をかいてよっぽど下らない下の下のかたにはまってるに違いないと、……
こいだけ書いて又下らない夢を見に床に入った。
七月二十四日 曇り
今日の日記は「カーネーション」と名をつけて、ここよりも八十里ほど北の山国に住んで居る「トシチャン」と云う私より一つ年上のオムスメさんに送った。
「カーネーション」この名は別に深い意味が有るのでもなくただ私の花園に一番沢山咲いて居る花の名をとったばかりだけど、そのポッテリとしたはにかんだような花は可愛いので手紙の中に二輪押して入れた。
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「日が高くなってからノコノコ起きたんですの、随分見っともいい事ですけど、もうとっくに私の宵いっぱりの朝ねぼうは知っていらっしゃるから妙
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