……こんなことを□[#「□」に「(一字不明)」の注記]うす明りの空を見ながら思った、きょう一日は神さまに試みられたんだろう、キット
ねる時にこんな事を思った。
七月二十三日 曇天 風、
朝生れてから又夜八時間ほど死ぬまで今日は至って平穏に暮した。十時位まで数学と習字と絵を一寸書いて、ゆうべ話にきいた事をまとめて書いて見ようと思って書き出したけれども思うように行かなかったので図書館行ときめる、白い絽のようなつつっぽの着物に袴、頭は真中を二つにわけって後で二本あんだものをぶたさげな[#「な」に「(ママ)」の注記]に結って下駄をはいて行った、ノートを二サつとインクをもって…………
今まで日比谷のには度々行ったけれ共上野にははじめてである。
下足の地下室なのがすこしいやで婦人のエツラン室から二階の本をかりるところまでは馬鹿に遠くて特別室を通りぬけて行くので、私なんかでさえ一寸妙な気持がした。
黒いジム服をきたお役人様? 即ち出納係りはまだわかい男のくせにいやに威ばって人のかおをいろいろと見て居る。
御なかん中で
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「私のかおだって眼が二つほかついてませんよ
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