きいて居るのもまた毛色の変った面白さが有るネ」
[#ここで字下げ終わり]
と云ったんで大きな声でわらいながら、その話を中途でやめて運動場の砂をザクザクさせながらそのはなしのつづきを思って居た。
 夕方、めずらしくカナカナがないた。私も一緒にカナカナカナカナと云って口がこわばる頃、とっぴょうしもない声で笑って部屋にかけ込んだ、うれしかった……
 椿の木、桜、杉、そんな植え込みを通して青い瓦斯《ガス》の下を行ったり来たり、笑ったりするお娘さんの姿が見えた、ひるま見る時よりも美しかった、
[#ここから2字下げ]
「となりのお嬢さんあなたはいくつ?」
かごの小鳥が声かけた
「わたしの年をあなたがきくの?
それじゃ、あなたとおない年
ですよ、まだ若いでしょう?」
となりの娘さんが云いました
「マア、それじゃあマアお嬢さん
貴方はやっと二つなの?
同い年ならその筈よ」
かごの小鳥はおどろいて
どんぐりまなこで云いました、
「私はネェ、小鳥さん、
特別仕度の子なもんで
こやって口もきけますの
おかしいワネェ、オホ……」
小鳥も一緒に「オホ……」
笑ったけれども「何となく様子が変だ」と鳥さんは
首をか
前へ 次へ
全31ページ中5ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング