の
みのらないのがわかりましょう、
もちっと待って下さいな」
「ついばんであげよか小麦さん」
小麦はうれしい声出して
「エエどうぞ たくさんあがって下さいな
すっかり大きくなりました」
小麦は体をなよなよと
地にまでねせて云いました、
白いひよっこは親鳥に
これも大きくなりました
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こんな下らないもんくを紙にかきつけて声高に勝手なうたの節をつけてうたって居た。
新しいゴムマリの様の心地で……
御ひるすぎ、私は出まどの前に坐って、楓のやわらかそうな芽生えを見ながらいろいろたのしい事を――私のこれからあとの……――思って居た。そしてコーヤッてじっとして居ると、どこからか小蜂がとんで来て、私を背にのせて人のまだ行ったことのない国につれて行って呉れはしまいかとなんか思われた。
それから私はきのうのばん見た夢を母[#中條葭江]にはなそうと思って
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「お母さま、あのネェ、」
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と前おきして笑いながら「いも虫」の園につれて行かれた恐ろしかった話をしだした、中頃までした時、
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「出たらめの話と知って
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