女教師で、人望があった。その人は、黄色っぽい髪に水色がかった菫《すみれ》色の瞳をしていた。
「フィリッポフさんの眼だって、そうだわ」
「あれゃ、色のせいじゃない」
 断定的に素子がいったので、蕗子も伸子も笑い出した。
「あの人は、人生そのものが、あんな風なのさ」
 そのとき、玄関で、
「ごめんなさい」
という男の声がした。
 伸子が出て行ってみると、たたきのところに立っているのは男と女と、二人の客であった。
「やあ……」
 テニス帽をぬぐ竹村英三に、伸子は、
「……御一緒?」
ときいた。女の客はその問いにあわてたように、
「いいえ。あの蕗子さんがあがっておりましょうか」
 自分が竹村英三のつれでないことを明瞭にした。その声をききつけて、
「おそかったのね」
 蕗子が出て来た。
「おお、おや。じゃあダブったんですね。門のところでおちあったんだけれど……」
 そう云って改めて若い女客を見た竹村に、素子が座敷から、
「竹村さん、一寸八畳の方にあがっていてくれませんか」
と声をかけた。
 蕗子の友達は、就職の相談に来たのであった。吉川という、その瘠せぎすの娘は、蕗子と同じ学校の英文科を去年卒業
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