て、そこへ移った。いくらうちで養生するようにといっても、みつ[#「みつ」に傍点]はそれをことわって、氷問屋の二階へ行った。
二三日たってある午後、伸子はそこへみつ[#「みつ」に傍点]を見舞に行った。みつ[#「みつ」に傍点]は、友達と二人でかりている、意外にひろい、和洋折衷の室の真中に床をとってねていた。伸子が、ドアをあけて、三尺ばかりの下駄ぬぎに立ったとき、みつ[#「みつ」に傍点]は、
「だあれ」
と割合元気な声でききながら、枕の上から頭をもたげた。そして自分のかけぶとんのふくらがりごしに、立っている伸子を認めると、
「アラ……」
伸子が、自分のほかになにかいるのかとおどろいてうしろを見かえったほど、びっくりした声をあげて頭を枕の上におとした。
「入ってもいい?」
返事がないのでそのままそっと入って床のわきへゆくと、みつ[#「みつ」に傍点]は、すっぽり頭からかけぶとんをかぶってしまった。伸子は、自分が佃のうちの細君であるということからみつ[#「みつ」に傍点]が遠慮するのかと思った。かけぶとんをかぶってしまったみつ[#「みつ」に傍点]に、伸子は気軽な冗談をいったり、慰めたりしたけれ
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