ども、みつ[#「みつ」に傍点]はかけぶとんから顔を出さず、しまいに、ふとんの中で泣いているのがわかった。伸子には、みつ[#「みつ」に傍点]の激しい感情の動きの理由がわからなかった。妻である伸子のいない間、みつ[#「みつ」に傍点]にばかり苦労をかけて、いまさら慰めてくれても仕方がない。みつ[#「みつ」に傍点]にそう思われているのかと思い、伸子は途方にくれた心持のまま、蒲団の下に見舞の包みをさし入れて、かえった。あれは、本当はどういうことだったのだろう? みつ[#「みつ」に傍点]を見舞いに行ったことや、みつ[#「みつ」に傍点]の不思議な亢奮について佃に話したとき、佃は例のとおり一言、病気で亢奮しているのでしょうといったきりだった。間もなく、伸子はまたその生活に耐えなくて、もがきはじめ、そして最後の逃げ出しをした。そんなことがあったのは、すべて四年もまえのことだった。氷問屋の青塗りの露台は秋日にてらされて今もあすこに在り、佃はあすこのうなぎ屋の裏に別の妻と住んでおり、そこには子供がい、自分は、外国へ行こうとしている。
自動車は、江戸川の通りから豊川町の高台へのぼる大きい坂にさしかかった。ク
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