て、子供たちはじっとしていたが、その柵を通りすぎてしばらくすると、うしろから、
「ヤーイ狐の嫁入り!」
と、はやしたてた。
ぎらつく日のきらいな伸子が、白い大きなハンカチーフの端を髪の上にかけ、つみ集めた花をもっていない方の手でかつぎのようにもう一つのはしをもって、西日をよけながら歩いているのであった。
二十五
旅券が下附されて、ソヴェト大使館の裏書がとれるまで、伸子は旅行のことについて動坂に知らすまいと思っていた。
「ぜひ、そうしましょう。さもないと、あんまり騒々しくなっちゃうから、ね」
多計代がこういうことを知れば、たちまち賑やかすぎることになるのは必定であった。
この予定は、或る日素子が、
「ぶこちゃん、厄介なことになりそうだよ」
と、当惑げな顔つきでよそから帰って来たことで、番くるわせになった。素子がきょうソヴェト関係の記者である友人にあったら、伸子と素子との裏書は、そう簡単にかかれないかもしれないと注意されたのだそうだった。
「――どうして?」
「どうもはっきりしたことを云わないからよくわからないんだけれどね、われわれの素姓《すじょう》を、むこうじ
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