ちつき、そして、うれしくなって来た。うれしさが、はっきりして来た。花をつむために、数歩おくれていた伸子は、かけるように素子に追いついた。そして、
「なんだかうれしくなってきた」
と告げた。小声でそう云ったら、一時に、どっとそのうれしさが呼び出され、こみ上げて来たようで、伸子は活溌な勢のいい足どりになった。うたが歌いたくなった。本当に、行ける! 行く。――その思いは、遠くに森の見える地平線や、高い空で白く光っている雲にまで響くようで、伸子は、
「ね、ね」
と素子の手をひっぱった。素子と伸子とは、うれしさが明瞭になるにつれ、元気が出て、大股にどんどんと畑の間の道を歩きまわった。一つの丘の裾をめぐって下り、小さい川に、かけられた丸木橋をわたった。そのまましばらく行くと灌木のしげったかげに木の柵のある農家の横へ出た。そこはいつか、竹村の温室をみにゆくとき通った鵞鳥のいる農家だった。
「あら、こんなところへ出てよ!」
 面白そうに伸子が立ちどまった。きょうは、どうしたのか鵞鳥はいず、柵の上にまたがって二三人の男の子が遊んでいた。草道を足音もしないで来て急に灌木のかげから現れた二人の女たちを見つめ
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