智を軽蔑するという一つのことだけしかなかったのだろうか。
「……ほんとに、誰なんだろう――」
 いやな顔をしてかたく黙っている伸子の横前で、紺ちぢみの品のいい蛇の目しぼりの浴衣の袂をうごかして、多計代はきった爪をとりあつめた紙を丸めて屑籠にすてた。
「相川良之介でさえ、やっぱりかげではこんな女のひととのかかりあいがあったんだものねえ――どうして男って、みんなこうなんだろう」
 多計代は、
「つくづく厭になって来る!」
 嫌悪をこめていった。
「男なんてものは、誰だって信用出来ゃしない。かげではなにをしているのかしれたもんじゃありゃしない。――相川さんの細君だって、きいてごらん。きっと、その女のひとのことなんか、最後まで知っちゃいなかったに違いないんだから」
 強情にだまりつづけている伸子に、ほとんど挑戦するように、
「もう私は、決して男の勝手をゆるしゃしないから!」
と力をこめて多計代がいいきったとき、伸子はからだのどこかを指環のはまった女の拳でこづかれるように感じた。
「日本の女はなにをされたって泣きねいりばっかりしているから男はほうずがありゃしない――どっちをみても幻滅さ」
 多計
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