趣味だと思おうとした。
 伸子は、またガラガラとひどい音をたてて網戸をあけ、それをしめて、土蔵から出て来た。出た途端に、ボオッと炎暑でやけた外気が体につつみかかって来るのがわかった。半地下室の方が涼しいことは全く事実なのだった。
「見えなかったわ」
 伸子は、食堂にいる多計代のわきの出まどに腰かけた。
「保さん、いつから、あんなしゃれたこと工夫したの?」
「さあいつごろだったろう……なにしろ、ことしの暑気は実際ひどいものね、無理はないよ。わたしも二階はほてりで寝苦しくて閉口だ」
 扇風機が多計代のよこてから風を送っていた。
「お母様、保さん、ぜひ一緒につれていらっしゃいよ」
「ああ、わたしもそう思っていたらね、ドイツ語の講習会がすんだら、珍しく今年は東大路さんなんかと、しばらく野尻湖の夏季寮へ行くんだとさ。あっちは、これからだそうだよ」
 多計代は、その叔父の著書で知っている東大路という名に、自分の安心をもたせかけているような調子でいった。和一郎の方は、十日ばかり前から湘南にある飯倉の伯父の別荘に行っているらしかった。漆細工で柿の実を飾った小ひきだしの上に、和一郎がペンで描いた西瓜泥棒
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