――
 多計代は、また自分を抑えられないように、その作品で知っている作家たちの名をあげた。その人々も来ていたか、ときいた。
「ねえ、お母様、全体がまるでちがうのよ。普通立派なお葬式とか何とかいう、そういうのとは、ちがうのよ。ね、だから、もうきかないでさ」
「それゃ、もちろんそうなはずですよ」
 そして、
「本当に、相川良之介というひとは、独特だった……覚えているだろう、伸ちゃん。あのひとがうちへ来たとき……」
 世間並の礼儀は一応まもらなければならないが、しんからの話相手とは出来ず、いくらか手もちぶさたなような、退屈なようなとき、相川良之介は、両方の手を、蠅があしをすり合わせるような工合にして、もて扱う癖があるらしかった。彼や久留雅雄が同人雑誌に作品を発表したばかりの頃、本をかりるために相川良之介が動坂の家へよったことがあった。そのときのことを多計代はいうのであった。伸子は、そのとき、どんなに相川良之介が、その手もちぶさたらしい手つきをしたか、はっきり覚えている。
 伸子は、きょう、ここへよったことは間違っていた、と思った。伸子は悲しそうに黙っていたが、やがて、
「わたし、すこしねて来
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