た。相川良之介が、生活と文学との上に追随を許さない独自のものとして画して来たスタイルを、こわすまいとして、死を選んだというより、死にまで自分を追い立ててゆく過程で、もしや自分が自分をぬけ出ることがありはしまいかという期待がもたれたのではなかったか。それも、伸子にそうも思えるというだけで、彼の作品から直截にわかることはできなかった。
そのようにこみ入ったそのわからなさを、伸子は、自分の生活にもどこかでつながったものと感じた。その意味で自分にもボンヤリした不安はあるということが出来ると思った。自分だって、よりよく生きたいとねがい、痛切に生きることを感じながら生きたい、と思っていることはわかっているが、それならばどういう風にしてそれを実現してゆくかときかれて、答えられるようなへんじは伸子になかった。伸子は、現在の生活に感じている不満についての側から話すことは出来た。けれども、そこから育つ新しい方法については、わかっていなかった。素子はロシアへ行くときめた。伸子自身はどうなるだろう。のこるだろうか。ゆくだろうか。それもわかっていない。金銭の問題を別にして、自分の心の必然としてわかっていないの
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