情だ」
 伸子は、かたわらからきいていて、どこにでもおこることがまたここでくりかえされていると思った。外国人同士の間で、まっさきに自分を紹介し、自分を推薦し、代表らしく扱わせる人々というものが、いつも必ずしも本国の人全体からそれだけの価値をもって見られているというのではない場合が多い。伸子が、少女としてニューヨークの大学の寄宿舎に暮していたときも、外国の人々の前に、茶だの生花だの振袖だので自分をあらわしてゆくある種の人の方法に対して、いつも調和しにくかった。ほんとの人間としての日本人の精神にある教養、世界の輪の一つとしての日本人のこころは、もっと奥にある。伸子には、そう思えて、領事館などで催される社交的な集会などへ、伸子も若い日本の娘の一人だということで、日本服などを着せられ、接待役によばれることを、きらった。国際的な感情といっても、それはあらゆる外国の通俗の慣習にただなじむことではない。外国の人間の新しい感覚でそれを感じあって、より高い偏見や先入観のない関係へすすめてゆく。好奇心をより人間らしい、互にわかったものにしてゆく。おぼろげに伸子の感じている国際的という内容は、そういう方向を
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