も加わっているらしいです」
「尾田君が?――国賓?」
素子は、タバコをもっている手で自分の顎を下からしごきあげるようにしながら、あおむいて笑った。
「すごいことになったもんだ――誰がきめたんです?」
「それは、こっちに来ている文化連絡の代表と相談してきめたんでしょう」
「その相談をした人が問題なのさ」
小川豊助は、鋭い素子の勢におされて、しばらく沈黙していたが、
「やっぱりいろいろのいきさつもあるんでしょうし……」
苦労になれ、また同時にそういう派手やかな場合、問題の圏外におかれつけて来ている人のおとなしさで小川豊助は答えた。
「交渉した人をとりのけてきめることも出来なかったんでしょう」
「しかしそれゃ情実ですよ。いやしくも国賓となれば、日本の文化人の代表だもの……変だなあ」
素子は、非常に根づよく追究した。
「どうして、登坂先生をのけものにしたんだろう。ロシア文学関係では、芝居の佐内さんと同じに功績のある人なのに――独創的ではないけれど……不公平ですよ」
素子が、伊豆へ一緒に行って一夏暮したのはその登坂教授であった。
「そんな不公平を、どうして後輩がだまっているんだろう。薄
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