子との生活で、伸子は子供らしいことをこわがった。夜道だとか、妙なきのこ[#「きのこ」に傍点]、いも虫、けがや死人の話、怪談。そういうものをこわがった。だが、夜中に妙な物音がしたり、きょうのような人が来たりすると、素子は亢奮して上気した顔のままその場を動かず、別なとき臆病な伸子が出て見にゆくのだった。
 素子は、あの三人を追っぱらった、という風にいうが、じかに目の前に並んだ三つのきたない若い顔々をみ、ルバーシカの下に三つの胃袋を感じ、三人の若い男の体臭さえかいだ伸子にとって、あの人々は、おっぱらわれなかった。伸子に、のこして行ったものがある。のこされたものは、従来の伸子たちの生活になかった一つの刺戟であった。
「――とんだ飛び入りが入っちゃった。おはぎ、出来てるよ、どこで食べる?」
 素子は、伸子をいたわるようにいった。
「ここにしない?」
 運ばれた皿の上でおはぎをゆっくり箸でちぎりながら、伸子は、
「なんだか妙な心持がする」
といった。
「みんなこんな気持がするのかしら」
「――何が?――ああいう連中に来られるとかい?」
「うん」
「――税みたいなもんだと思ってるだろう」
「そうかし
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