も理解される。けれども、男のそういう態度《ポーズ》はやっぱり伸子に若い女としての反撥をおこさせた。その人々のフェミニズムが裏がえしになっていることには、社会的に個人的にいろいろいりくんだわけがあるはずだった。丁度素子が男みたい[#「男みたい」に傍点]になったことには親たちの結婚生活のかくれた悲劇が裏づけになっているように。そういう点につっこんでゆけば、機智や毒舌で片づかないものがあり、そしてそれこそ人間らしいあれこれであるのに、それを掘りかえす勇気はなくて、相対的に――女に向って、優越めいた逆説をたのしんでいる種類の男を、伸子はいやだった。彼らの毒舌や逆説で、くやしがる若い女の声や態度は、彼らをたのしませるのだ。そうわかっていても、やっぱりくやしいことはくやしいし腹が立つことは腹がたつ。――
上野の五重の塔のいただきが森の上に見はらせる坂をゆっくりのぼって、伸子は同じ歩調でしずかな道をいそがず歩き、動坂の家の門をはいった。伸子は何となし視線をおとして門から玄関までの細くて奥のふかい石じき道を歩いていて、おや、と意外なものを見つけたように足をとめた。門を入って数歩のその足もとに大きい花
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