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農民がぐるりと三人をとりまく集団の効果は、テムポも圧力も予期に近づいた。エイゼンシュタインは、そのときはじめて、
「ハラショー」
と腰をもたげた。カメラがのぞかれ本式の撮影にすすんだ。
ソヴ・キノのスタディオから帰りに伸子たちのとまっているパッサージ・ホテルへよった中館公一郎は、映画監督らしいしゃれたハンティングをテーブルの上へなげ出して、
「われわれにこわいものがあるとすれば、あの根気ですね」
と、椅子にかけた。
「しかもそれがエイゼンシュタインばかりじゃないところね。――それにしてもいい助手をもってるんだなあ」
素子のタバコに火をつけてやり、自分のにもつけて、うまそうに吸い、中館はいい助手をもっているエイゼンシュタインをうらやむような眼ざしをした。
「ちがいがひどすぎますよ。徹夜徹夜で、へとへとに煽って、根気もへちまもあったもんですか――あのみんなが腰をすえてかかっている根気よさねえ――あれが計画生産の生きてる姿なんです」
伸子もその日はじめてソヴ・キノの大規模な内部をあちこち見学した。一九二八年度のソヴ・キノ映画製作計画表も説明された。その中では文化映画何本、教育映画
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