@白黒のなりの女は、役所風に、
「モージュノ(出来ます)」
と云った。そうひとこと云ったきりで、片手にもった鉛筆で、機械的に片手の手のひらをたたきながら不得要領にしている。その態度に刺戟されたように、素子が独特の悧巧で皮肉な鋭い片頬笑みを浮べながら、
「ソヴェト婦人部の仕事は、党員婦人だけのためにされるべきものなんですか」
と質問した。黒白の女は、急に目をさましたように伸子たち二人をみて、弁明的な早口で云った。
「そんなことはありません。ソヴェト代議員には、党外婦人の方がより多勢選挙されているぐらいですから」
 しかし、この白黒の女に、東洋という観念がはっきりつかめていず、日本の女を見たのも初めてなのは明らかだった。ヴ・オ・ク・スの若いひとも、日本の女に会ったのは伸子たちがやっぱり初めてらしくて、どこか調子のわからないようなばつのわるさを、優美なそのひとらしく内気さと社交性であらわした。スモーリヌィの白黒の女は、なお自分に求められている婦人部の活動についての説明は回避して、自分の知らない未開地の状況の報告でもきくように、日本では女子のための大学があるかなどと質問をつづけた。
 ますます
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