ナ《じ》れて来た素子がいまにも日本語で、こんな女を対手にしてたって仕様がないよ、とでも云い出しそうになったときだった。伸子たちが入って来た廊下の方のドアが勢よくあいた。そして、白い木綿のちょいとした半袖ブラウスの上から、鼠色地にこまかい更紗《さらさ》模様のあるサラファンを着て、クリーム色のプラトークで陽気に頭をつつんだ血色のいい大柄な女が入って来た。窓ぎわにいる二人を認めると、
「――わたしどものところへのお客様ですか?」
 こだわりのない足どりで真直伸子たちに近づいて来た。
「こんにちは」
 太くて力のある手で握手しながら白黒の女と伸子たちとを半々に見た。
「どちらから?」
 白黒の女は、椅子から立ち上りながら、
「わたしたちの主任です」
 伸子たちにそう告げて、サラファンのひとに向って伸子たちが日本の婦人作家であること。ヴ・オ・ク・スから紹介されて来ていること。婦人部の仕事について学びたいと云っていることを報告した。サラファンのひとは、クリーム色のプラトークの結びめのはじを、日焦け色をしたむきだしの頸のうしろでひらひらさせながら、
「大変うれしいです」
と、伸子たちにうなずいた、す
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