閧ノ面して、フランスまがいの飾りドアが、一日中開いたりしまったりしているモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]※[#二分ダーシ、1−3−92]ヴ・オ・ク・スの活況と、ここのしずけさとは、何というちがいだろう。モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]のヴ・オ・ク・スは、あぶくを立て湯気をたてて煮えたっているスープ鍋だった。ここの、廃園の奥にあるレーニングラード※[#二分ダーシ、1−3−92]ヴ・オ・ク・スは丁度手綺麗な切子ガラスのオードウヴル(前菜)の皿のようだった。よけいなものは何一つない。いるだけのものは揃えられている。――
伸子と素子とは、毎朝九時ごろ、学者の家のごろた石をしきつめた裏庭をぬけて、レーニングラードのあっち、こっちへ出かけた。レーニングラード・ソヴェトのあるスモーリヌィや、母性保護研究所。「労働婦人と農婦」編輯局。郊外にあるピオニェールの夏の野営地など。
伸子たちがそこへ行ってみたいと思ってヴ・オ・ク・スから紹介をもらったところは、どこもみんな、元ニェフスキー|大通り《プロスペクト》と呼ばれたレーニングラードの目抜きの場所から遠くはずれた街々に在った。冬
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