ネがら一人ぽっちで台所にいるのが、ニューラに辛抱できなくなって、到頭伸子のところへ来たことは、室へ入って来たものの、そのまま途方にくれたようにしているニューラのそぶりでわかった。
「ニューラ。こわがるのはやめなさい。犬は正直だから、ニューラのところに洗濯ものなんかかくしてないことはよくわかることよ」
そうはげまされてもなお半信半疑の表情で、窓からフラム・フリスタ・スパシーチェリヤの金の円屋根を眺めていたニューラは、
「奥さんは、わたしを疑っているんです」
深く傷つけられて、それを癒す道のない声の調子でつぶやいた。
「奥さんは、わたしが不正直でも九ヵ月つかっていたでしょうか」
すすり泣くように大きな息を吸いこんでニューラは、
「ああ。悲しい」
と全身をよじるようにした。
「いつだってあのひとたち[#「あのひとたち」に傍点]はそうなんです」
ニューラは、気の上ずったような早口で喋りはじめた。伸子たちがここへ移って来る前、オルロフという山羊髯の気味のわるい男の下宿人がいた。山羊髯のオルロフは何でも特別彼のため[#「特別彼のため」に傍点]のものをもっていた。ニッケルの特別な彼の[#「特
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