C」について数行の説明がついていた。イ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ン・ブーニンは、ゴーリキイが結核だということさえ捏造してゴシップを書きちらした。しかし、実際にはゴーリキイが結核を患ったことなんかはないのだという意味がかかれている。
 ゴーリキイが一九二三年にレーニンのすすめでソレントへ行ったとき、理由は彼の療養ということだったと伸子も思っていた。「プロジェクトル」はそれを否定している。
 ゴーリキイは、ソレントで、その乳母帽子をかぶって描かれていた自分の絵を見ただろうし、スカートをはいて「四十年」の鍋をかきまわしている婆さんとして描き出されている自分をも眺めたことだろう。そして、今は巨人として描かれている自分も。肺病だった、肺病でなかった、今更の議論も、ゴーリキイの心情に何と映ることだろう。伸子には、そういうことが、切実に思いやられた。ゴーリキイはソヴェトへ帰って来ようとしている。ソヴェトへ帰って来ようとしているゴーリキイの心の前には、どんな絵があるだろう。乳母帽子やスカートをはいた自分の絵でないことは明らかだった。ゴーリキイの心は、じかに、数千万のソヴェトの人々のところへ
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