ス絵の下には「浮浪人の足を讚美する頭」とかかれている。ゴーリキイきのこ[#「きのこ」に傍点]という大きな似顔きのこのまわりから、小さくかたまって生えだしているいくつもの作家の顔。ゴーリキイが「小市民」のなかで苦々しい嫌悪を示した当時の小市民やインテリゲンツィアが、「やっぱり、これも読者大衆」としてゴーリキイを喝采しているのを見て、げんこ[#「げんこ」に傍点]をにぎっていらついているゴーリキイ。それらはみんな一九〇〇年頃の漫画であった。「プロジェクトル」のゴーリキイ特輯号のために新しく描かれた漫画では、大きな鼻の穴を見せ、大きな髭をたらした背広姿の年をとったゴーリキイが、彼にむかって手桶のよごれ水をぶっかけている女や竪琴《たてごと》を小脇にかかえながら片手でゴーリキイの足元に繩わなをしかけようとしている男、酒瓶とペンとを両手にふりまわしてわめいている男たちの群のなかに、吸いかけの巻煙草を指に、巨人のように立っているところが描かれている。わるさをしている小人どもは、革命後フランスへ亡命している象徴派の詩人や作家たちの似顔らしかった。
「国外の白色亡命者と何のかかわりもないマクシム・ゴーリキ
前へ 次へ
全1745ページ中314ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング