ナ交換出来ないような品物を、家具とはよばないんです」
 マリア・グレゴーリエヴナが、
「いずれにせよ、即答はお互に無理でしょう」
 なかに立って提案した。
「二日ばかり余裕をおいて、返事することになすったら?――こちらにしろ」
と赤い部屋靴をはいている女主人をかえりみて、
「その間に、非常に希望する借りてを見つけなさるかもしれませんしね」
「結構ですわ」
 捲毛の女主人は、社交になれたとりなしでちょっと胸をはった姿勢で椅子から立った。
「では二日のちに――」
「どうぞ――御一緒に暮せるようになったらイリーナもよろこびますわ」
 入口のドアがしずかに、しかしかたく、三人のうしろでしまった。三人はしばらく黙ったまま、人通りのない古風なブロンナヤの通りを並木道の方へ歩いた。
「ああいう女のひとにとって一七年はどういう意味をもっているんでしょうねえ」
 マリア・グレゴーリエヴナは、黒い毛皮のついた、いくらか古びの目立つ海老茶色の外套の肩をすくめるようにした。
「モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]の舞台にあらわれるああいう女のひとのタイプは、誇張されているんじゃないということがわかりま
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