黷ツの芸であるらしく、前にのこした足を、踊子らしく外輪においてゆっくり膝をかがめ、またもとの姿勢に戻るまでを、女主人は息をころすようにして見つめた。
 マリア・グレゴーリエヴナが、
「見事にできました」
とほめた。低い椅子にかけたまま、立っている娘を見上げる女主人、立ったまま母親の顔を見ている娘とは、マリア・グレゴーリエヴナの褒め言葉で、互に、満足の笑顔を交しあった。娘は、ドアのむこうに引こんだ。
「さて、どうするかね、ぶこちゃん」
 素子が日本語で相談した。
「場所はいいが……ちっと複雑すぎるだろう」
「わたしには、とてもあの子をほめきれないわ」
「――場所は私たちにとって便利だし、室もいいけれども、何しろわたしたちは旅行者ですからね」
 女主人とマリア・グレゴーリエヴナとを等分に見ながら素子が説明した。
「家具を自分たちで負担するのは、無理なんです」
 捲毛の渦まく頭をすこし傾けながら、女主人は無邪気そうに、思いがけないという目つきをした。
「どうしてでしょう。――わたしたちが家具を買う、というときは、いつもそれが、また売れるということを意味しますのよ。そして、私たちは実際、いい価
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