「る外国人はどっさりいるんでしょう、こんないい室なら、家具を自分もちでも来る外国人があるだろうに……」
と、云った。女主人は、素子が外国人を男性で話したことには心づかなかった表情で、
「おことわりするのに苦労いたしますわ」
と云った。
「ちゃんとした家庭では、一緒に住む人の選びかたがむずかしくてね。わたし、娘の教育に生涯をかけて居りますのよ」
 女主人は、うしろのドアの方へ体をねじって、遠いところにいるひとをよぶように声に抑揚をつけ、
「イリーナ」
とよんだ。
 待ちかまえていたようにすぐドアがあいた。スカートの短すぎる赤い服に、棒捲《ロール》毛を肩にたらした八つばかりの娘が出て来た。
「娘のイリーナです。大劇場の舞踊の先生について、バレーの稽古をさせて居ります。――本当の、古典的なイタリー風のバレーを。さあ、可愛いイリーナ、お客さまに御挨拶は?」
 すると、イリーナとよばれたその娘は、まるで舞台の上で、踊り子がアンコールに答えるときにでもするように、にっこり笑いながら、赤い服のスカートを左右につまみあげて、片脚を深くうしろにひいて膝を曲げるお辞儀をした。全くそれが、この娘に仕込まれた
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