なすもんなんですがね。ロシアは昔っから、ヨーロッパの穀倉と云われて来たんです。ロシアは、自分の方から主として麦を輸出して、その代りに外国から機械そのほかを輸入して来ていたんですがね、この交互関係――つまり鋏のひらきは、あらゆる時代に、ロシアの運命に影響しました。帝政時代のロシアは、その鋏の柄を大地主だった貴族たちに完全に握られていましてね。連中は、ロシア貴族と云えばヨーロッパでも大金持と相場がきまっていたような暮しをして、そのくせ、農業の方法だって実におくれた状態におきっぱなしでね。石油、石炭みたいなものだって、半分以上が外国人の経営だった、利権を売っちゃって。――そんな状態だからロシアの民衆は、自分たちの無限の富の上で無限貧乏をさせられていたわけなんです。――宝石ずくめのインドの王様と骸骨みたいなインドの民衆のようなものでね」
儀礼の上から藤堂駿平を訪問したサヴォイ・ホテルのバラ色絹の張られた壁の下で、比田礼二に会ったことも思いがけなかったし、更にこういう話に展開して来たことも、伸子には予想されないことだった。
「この頃のモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]では、どこへ行っ
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