たっていやでも見ずにいられないインダストリザァツィア(工業化)エレクトリザァツィア(電化)という問題にしたってね。云おうと思えばいくらでも悪口は云えますよ。たしかに、先進国では、そんなことはとっくにやっちまっているんですからね――しかし、ロシアでは意味がちがう。これが新しいロシアの可能を決定する条件なんです。ともかく、まずロシアは一応近代工業の世界的水準に追いついてその上でそれを追い越さなくちゃ、社会主義なんて成りたたないわけですからね。『追いつけ、追いこせ』っていうのだって、ある人たちがひやかすように、単なるごろあわせ[#「ごろあわせ」に傍点]じゃないわけなんです」
人間ぽい知的な興味でかがやいている比田礼二の眼を見ながら、伸子は、このひとは、何とモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]にいる誰彼とちがっているだろうと思った。それは快く感じられた。
モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]にいる日本人の記者にしろ、役人にしろ、伸子が会うそれらの人々は、一定の限度以上にたちいっては、ロシアについて話すことを避けているような雰囲気があった。その限度はきわめて微妙で、またうち破
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