オかたにつよい興味をひかれた。どこまでも実際家らしい体つきのそのおっかさん風の代議員は、単に知識上の好奇心からそういう質問を伸子にしているのではないことが、まざまざと伸子に感じられた。彼女は村での自分の生活がひろがり、日々に新発見があり、人生の地平線が遠く大きく見えはじめたその生活感の新鮮さから、日本の女はどうしているのだろうと、知りたがっているのだった。素子にたすけられながら、伸子は簡単に、ごく短かかった日本の自由民権時代、男女平等論の時代と、それからあと現代までつづいている婦人の差別的な境遇について説明した。おっかさん代議員は、伸子のその話をきくと、
「御覧!」
 肩をゆすりながらおこったようにとなりに坐っている同年配の女の脇を小突《こづ》いた。
「わたしたちのとこだって同じことだったんだ」
 楽な様子でベンチにかけながら注意ぶかくこの空気を見ていたサラファンのひとが、
「皆さん、どうですか」
と云った。
「この様子だと、わたしどもは、お互にもっと訊いたり、きかせたりすることがありそうじゃありませんか。明日、二時から、座談会をしましょう、どうです?」
 農村からのひとたちらしく、ゆっくり重くひっぱった。
「ハラショー」
「ラードノ」
が、あっちこっちからおこった。こうして、伸子たちは、思いがけずまた翌日もスモーリヌィへ来ることになった。丁度|正餐《アベード》の時間でサラファンのひとも講習生の婦人代議員たちも、講堂からぞろぞろ階下の大食堂へおりた。伸子たちが、そっちへ曲る廊下の角でわかれて帰りかけると、サラファンのひとは、
「どうして?」
 立ちどまって伸子たちを見た。
「どこへ駈け出すんです? わたしたちと一緒におたべなさい」
 わきを歩いていた一人の、手に火傷《やけど》のあとのある若くない婦人代議員が、いくらか躊躇している伸子に向って合点合点しながら、
「まったくのことさ!」
と云った。
「革命のときはみんながかつえたけれど、いま、パンは、たっぷりなんだから遠慮はいらないことさ」
 スモーリヌィからニェフスキー大通りの手前まで、電車にのって夕方の街々をぬけてかえる途中、伸子はサラファンのひとと、白黒のひととあんまり違いのひどかったことを、くりかえして心にかみしめた。サラファンのひとが戻って来るまで、伸子は、白黒を婦人部の責任者かしらと思っていた。白黒は、伸子た
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