驍ニ、白黒の女は、すこし声をおとし、しかしそれは十分伸子たちにきこえる程度で念を押すように、
「彼女たちは、党員でありません」
とつけ加えた。その瞬間、伸子は火のような軽蔑と反撥が胸の中を走ったのを感じた。党員でなければどうだ、というのだろう。どんな人だって、党員より前に人間であるしかないのだ。そして、女であるか男であるかしかないのだ。――
 クリーム色のプラトークのひとは、到って平静で、伸子たちの上に視線をおいたまま、声の高さをかえず、
「それは重大なことじゃありません」
と云った。
「わたしたちは、みんなのために働いているんだから……」
 白黒が立ってそこから去ったあとの椅子に、かわってサラファンのひとがかけた。
「さて、何からはじめましょう。あなたがたは遠くから来ていらっしゃるのだから、ここでの時間は有効につかわなくてはなりません」
 サラファンのひとは、その室にいた別の女に云ってソヴェトの構成図の印刷したものを伸子たちに与えた。婦人のソヴェト代議員の大部分は村でも都会でも主として、教育、衛生、食糧の部門でよく活動していると説明した。
「非常に大部分の婦人が、特に農村では自分たちの文盲を克服すると同時に、すぐ村ソヴェトの活動に参加して来ているんです。わたしたちのところでは、子供たちもぐんぐん育っていますけれど、婦人たちの成長ぶりはすばらしいです」
 このサラファンのひとが、伸子たちを婦人代議員たちのために政治講習会が開かれている室へつれて行った。かなり広い、風とおしのいい白壁の室の真中に、色さまざまなプラトークで頭をつつんだ、さまざまの年齢の婦人たちが、どの額も頬も農村のつよい日光と風にさらされた色で、農業と電化の話をきいていた。うしろに空いていたベンチに伸子たちと並んでかけて、クリーム色プラトークのひとは、更紗模様のサラファンの下で楽々と高く膝を組み、その上へむきだしの太い肱をつき、顎を支え、断髪を赤いプラトークでつつんだ二十七八の講師の話が終るのを待った。講義が終ったとき、彼女は一同に伸子たちをひき合わせた。すると、講習生の中の一人で金の輪の耳飾りをつけた、いかにもしっかりもののおっかさん風の四十ばかりの婦人代議員から、伸子たちに向って、日本の婦人も参政権をもっているか、という質問が出た。
 伸子は、この村ソヴェト婦人代議員の質問の題目よりも、彼女の質問の
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