主義文学の創作方法が段階的に勤労者的リアリズムと限られることは誤りです。その展望において人民の力による民主主義がプランにのぼっている以上、その展望に相応しい文学の方法は社会主義リアリズムであると思います。自覚ある労働者は常に遅れた労働者の自然発生的なリアリズム――現実主義、実利主義と闘っています。彼らの経済主義と闘っています。
ここで私は非常に面白い矛盾がさき程からの討論の中に含まれていたと思うのです。発言者は、殆ど全部新日本文学会の活動がもっと革命担当者である労働者階級の現実にふれ、その経済的・政治的闘争に参加するようにと要求されました。それは全く正しいと思います。それだのに、何故討論は現在のわれわれが獲得した事実として存在する民主主義文学運動の所産を、全面的に先進的階級のために生かして使う機敏で闘争的なプランについての発言がなかったのでしょう。この面は、プロレタリア文学の遺産の継承に関する討論と等しく、わたくしには非常に静的に論議されていると感じられました。例えば、組合の闘争において、権力との闘いにおいて、プロレタリアートの全線にプラスするどんな小さな成果も、わたしたちはそれを念
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