討論に即しての感想
――新日本文学会第四回大会最終日に――
宮本百合子
−−
【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)文学的[#「文学的」に傍点]に批評を組みたてる
−−
私自身体が悪かったり病人があったりで、大会の準備に出席できませんでした。第二回民主主義文化会議に出席できなかったしこの大会の二日間も欠席しております。したがって系統だった報告はできません。けれども、こんにち私たち日本の人民にとって、世界ファシズムに反対して平和をまもり日本の人民としての生活と文化の民主的な独立を打ちたててゆく努力が、どんなに切実な課題であるかということについて、今日午後行われた討論にふれ、只今中野重治の行った報告にもそって一言のべたいと思います。
第一次大戦の後には、誰にでも知られているとおりヨーロッパには新しい芸術の流派として、ダダイズム、キュビズムなどが広汎な心理分析主義の流行の上に発生しました。第一次大戦によって中流階級が生活の安定を破られ、これまでの社会秩序と価値評価のよりどころを崩壊させられたことから、こなごなになった小市民的
次へ
全31ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング