都市が、皆、俺のおもちゃに植えて行くと思うと、身震いがしたッけ。
ミーダ 俺がこれまでに作った悪徳の環もあれが頂上だったかな。
ヴィンダー ――兎に角仕事があれば存在も認められる。あの最中、俺達が他の神々を畏れさせた威勢はどうだ。善神どもは、意地が強いから、道ですれ違っても避けはしなかったが、二人で愉快に闊歩するのに出喰わすと、さっと、高慢な頬を蒼ざめさせたじゃあないか。
ミーダ それも昔の物語、では始まらない。――斯う宇宙一体が溌溂としないのは、俺が思うに、天帝の故だ。どうも老耄しかけて居る。――そうは思わないか。眠けざましに、イシオピア人の真似でもして天の一揆を工《たく》もうか。
ヴィンダー あの時結局勝ったのが誰だか忘れるな、矢張レーだ。
ミーダ 俺達にでも堪えるべき運命があると云うのか?――ああ、ああ、退屈は明敏な俺の呪咀まで腐らせそうだ!
ヴィンダー 俺の大|三叉《さすまた》が、恐ろしい鉄の轟きで天を震わせなくなってから、よい程時が経ったわ!
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ヴィンダーブラ、やがて、きっときき耳を立て、起き上る。
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[#ここから改行天付き、折り
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