)
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ところが今年は当地方平均一頭宛の標準は五・六六六ツェントネルで、各農戸に対する一頭の標準は、
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一匹 五人家族 三・〇(ツェント)
二匹 八人同 四・四(同 )
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という工合である。
大きい河。濁ったあく色だ。両岸、雪が白い。地図を見たらそれがイルトゥウィシェ河だった。オムスク市が鉄橋のかなたからはじまる。
オムスク四十分停車。
ステーション構外の物売店見物。
バタがうんとある。
三つ十五カペイキでトマトを買った。てのひらにのっけて雪道を歩くとそれは烏瓜のようだった。実際美味くなかった。ナルザン鉱泉の空瓶をもってって牛乳を買う50к。ゴム製尻あてのような大きい輪パン一ルーブル。となりの車室の子供づれの細君が二つ買ってソーニャという六つばかりの姉娘の腕に一つ、|新しい世界《ノヴォ ミール》というインターナショナル抜スイのような名をもった賢くない三つの男の子の腕に一つ通してやっている。
耳が痛い位寒い。食堂でよく会う黒人党員がいつも一緒なロシア婦人党員と白い息をハーハーふきなが
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