支配人はクラスノヤルスク村へ牛乳買上決算に出かけた。そこで彼は三昼夜べろべろにのんだくれ、その結果として、バタ工場に属す馬をどっかへなくしてしまった。
グロデーエフは三頭馬をもっている。以前グロデーエフは何人か小作人をもっていた。現在十九歳の小作人ニコライ・クリコフを使っている。
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 手帖にうつしているとY、赤鉛筆をこねて切抜の整理しながら、
 ――何ゴソゴソしているのさ。
 ――知ってる? あなた。牛乳生産組合がどんな風に農民から牛乳を集めるか。
 СССРで集団農業に移ろうとした時、農民及政府双方で一番困難したのは家畜の問題だった。穀類集団農業から集団牧畜へ。これは常に積極的刺戟を加えられている点である。この新聞で見ると牛乳協定は非常に農民の利益を計って改正されている。去年の牛乳協定は農民の消費を考慮せずにされた。つまり各農戸の人員を数えず、バラビンスキー地方一帯、牛一匹一年六・六ツェントネル平均として協定標準が定っていた。各農家別にすると、
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一頭持   四・六(ツェント)
二頭持   六・〇(同   )
三頭持   七・五(同   
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