せまい袖口からたもとの中におっことしてやった。三人はあかるい顔をしてあっちこっちと歩き廻ったけれ共、時候のせいでどこに行ってもすきだらけだった。
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「もう五時に近いぐらいですよ。行きましょう、貴方は又かぜを引くんだ、そいでなけりゃあ今夜ねられないかどっちかになってしまう」
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 Hさんは千世子のずったショールをなおしてやりながら云った。
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「ほんとサ、ネ、千世ちゃん帰ろう」
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 源さんはいかにももっともらしく千世子をいたわる様に云うのが千世子には何とか云ってやりたいほどおかしくきこえた。けれ共せっかく丸くなった気分を下らない事でぶちこわすでもないと思って奥の臼歯でかみくだいてそのまんまのんでしまった。
 三人は山の手電車にのった。

        (八)[#「(八)」は縦中横]

 源さんはやたらにはしゃいでいやがるHさんをつかまえて指角力なんかして居る中に、千世子は瞳を定めて段々とくらくなって行く外を見ながら、
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「ほんとうに男って云うものは簡単な事で安心したり気を
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