居るのがつまらなくってしようがなかった。椅子の後に頭をぶっつけながら、
[#ここから1字下げ]
「何か面白い話はない? 一寸も張り合いがないじゃあないの、こんな事話し合って居たって……」
「そうさネ……」
「それはそうと今日一体何曜?」
「今日? どうして忘れたの? 木曜ですよ!」
「じゃこの次の日曜まではじきネ」
「そうらしゅうござんすネエ、あしたは金曜でその次は土曜で……」
[#ここで字下げ終わり]
Hが向うを向いたまんま笑いながら云う。
[#ここから1字下げ]
「貴方のは十八番ですわネエ、ろくでもない」
「口下手な方が尊いんですよ」
「でもはなしか[#「はなしか」に傍線]が女にはありませんわ」
「ほんとうにそう云えばそうだが……ちっと妙だナア……」
[#ここで字下げ終わり]
あんまりおどけて居たんで笑をつまみ出された様に「ハッハッ、ハッハッ」と調子をつけて笑った。
衿を合わせながら入って来た母親は二人をつかまえて北海道の話をし始めた。いくどもいくどもお祈りの文句の様にくり返してきかされて居る千世子は自分の部屋に入ってK子のところに手紙を書き始めた。まとまりがつかないで始まり
前へ
次へ
全192ページ中74ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング