はなれたものの様に生活し自分等を見ることの出来る人、自信の強い人、女と云うものを二色の目で見て居る、矛盾の多い自分の心の輝きに自分でまばゆがる人、千世子には性質としてこんな事が知[#「知」に「(ママ)」の注記]った。
 羽織のひもをおもちゃにする事、
 ひじかけ椅子によった時にはきっと両うでをそれにかけて胸のあたりで指をくむ、
 お飯茶碗でお茶をのむ事のきらいな
 しつけ糸のやたらに気になる
 笑う時に多くまばたきをする事
 どの部屋にでも入るときっと上を見る
 指の先をひっぱる事
等がそんなに目立たないながらもくせであった。これ丈のくせを知りながら千世子はきらいな人だとは思われなかった。いつもすんだ晴れた声で丸く話をすることや、どこのこまっかい皮膚にでも男に有りがちのあぶらっこい光りをもって居ない事等が千世子が特別にうれしく思う事だった。
 Hがとまる様になってから母親の一層注意深くなったのは千世子も知ったけれ共、別に気にもせず自分は自分でする丈の事をすると云った様な調子に暮した。
 暮に近くなってから千世子の書いて居るものも半分ほどになったけれ共どうしても言葉つきや、みなぎって居る
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