もお嬢さまも御湯がわきましてす」
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束髪を額にずるっこかせた女中がまどから牛みたいに首を出して云ったのを始めに千世子の囲りをかこんで居た人間ばなれのした美くしい想いがぶちこわされはじめた。
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「ハイ」
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気のない返事をしてからいかにもおしそうに、
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「又昼間になりましたねエ、自分の心にお面をかぶせる時が来ましたワ」
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と云って寝間着の裾をけった。
千世子は湯殿で一寸もねなかったのに顔や手を洗う事なんかはいかにもとっつけた様な馬鹿馬鹿しい事に思われた。虹の様な光りをもってこのうでまでついて居るシャボンのあぶくにさっきの気持が洗いさらされてしまった様になって、まっぴるまに見る瓦屋根の様なすきだらけなはげっちょろなものになってしまった。
午前中はとりとめのない事に時をつぶしてしまい、午後からはHもいそがしく、千世子も興にのって夕飯まで書きつづけたんでいつもの様に話もでず平凡な一日を送った。
夕飯の時父親が会でおそくなるのでいつも父の座るところに母親が座って食べながら、
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